「お腹にいるわが子は健康に生まれてきてくれるだろうか?」
妊娠中は誰もが心配になることです。
一方で「どんな病気があったとしても、生まれてくるまでは健康だと信じていたい」
と思う人もいますよね。
今回は「胎児スクリーニング検査」について、実際に受けてみた感想を交えてご紹介します。

- 胎児スクリーニングってどんな検査?
- どんなことがわかるの?
- 検査はいつごろ受けられる?
- 絶対に受けた方がいい検査なの?
- 高い費用がかかるんじゃない?
こんな疑問に答えます。
私も胎児スクリーニングを受けるべきか、長い間迷っていました。
でも、「何のために受けるのか」に気づいた時、受けることに決めました。
胎児スクリーニング検査とは
胎児スクリーニング検査とは、出産前に赤ちゃんの先天的な病気を知るための超音波検査です。
いわゆる「出生前診断」のひとつで、「胎児ドッグ」「胎児診断」などとも呼ばれています。
【わかること】主に心臓などの先天的疾患
主に心臓や内臓、脳、胎盤などを詳しく観察し、先天的な異常がないかを調べる検査です。
通常の妊婦健診では見つけられないような病気も発見することができます。
もちろん、すべての病気が見つかるわけではありません。
例えば、食道などお腹の中ではまだ機能していない臓器の異常は生まれてみないとわからないそうです。
でも、心臓疾患のように生まれてすぐに命に関わるような病気の可能性を事前に知ることができます。
【受けられる時期】妊娠20週目~30週目が目安
病院によって違いますが、妊娠20週目から受けられるところが多いようです。
20週目以前の赤ちゃんは心臓が小さく、構造を詳しく調べることが難しいそうです。
反対に赤ちゃんが大きくなってからでは見えづらくなるため、
30週目くらいまでに受けることをおすすめされました。
【費用・時間】1回20分で5,000円~
- 費用の相場:5,000円~2万円
- 検査にかかる時間:20分程度
妊婦健診のスケジュールに含まれているところもあるようですが、
希望者だけが受けられる病院や・胎児スクリーニングの担当医がいない病院も多いです。
通っている病院で受けられない場合は、胎児スクリーニングを行っている産院や大学病院などで受けることになります。
胎児スクリーニングは保険適用外なので検査費用は全額自費負担です。
私が通っている病院では1回20分の検査で1万円でした。
胎児スクリーニングは絶対に受けるべき?
希望制であることも多いので、必ず受けなければならない検査ではありません。
普段の妊婦健診で行う超音波検査も、実は出生前診断のひとつなんですよ。
胎児スクリーニングを受けなくても、発育状況や羊水の量などから病気が発覚することもあります。
でも、私は実際に受けてみて「受けてよかった」と思いました。
胎児スクリーニングは何のために受けるの?
絶対に受けなければならない検査ではない胎児スクリーニング。
では、何のために受ける検査なのでしょうか。
私が病院の先生に言われたことは
「先天的な疾患を持って生まれてくる赤ちゃんに、生後すぐ最適な治療を行うため。」
ということでした。
【産院の先生に聞いた!】出産前に病気が分かったから助かった命
私が通っている病院では、胎児スクリーニングを始めてからの2年間で7人の赤ちゃんに心臓疾患が見つかったそうです。
「県内では対応できる病院はない」と言われるほど、重篤な病気を持って生まれてきた子もいたとか。
でも、「県内では対応できない」ことが胎児スクリーニングで分かったからこそ、
出産前に対応できる病院へ転院できたのです。
生まれてから病気が発覚し、県外に搬送していたのでは間に合わなかったかもしれません。
出産前から最適な治療プランを組むことができる
胎児スクリーニングで発見される異常は、生後すぐに手術しなければならない病気が多いそうです。
でも、反対に言えば「生まれてすぐに手術することで助けられる可能性が高い」ということ。
心臓疾患を持って生まれてきても特に症状が出ないまま退院し、ある日突然異常が起こる場合もあります。
出産前に異常が分かっていれば、それまでに最適な治療プランの提案を受けることができ、
生まれてすぐに対応できるのです。
私が胎児スクリーニングを受けることに決めた理由
実は私も、直前まで積極的に受けようとは思っていませんでした。
でも、「受けないと後悔するかも」と不安になってしまったのです。
検査の存在は知っていたけど「どっちでもいいや」
私が通っている病院では月に数回、大学病院の先生が来てくれて
希望者だけが胎児スクリーニングを受けられるようになっています。
掲示板に張られていて存在は知っていたのですが
- 妊娠の経過は至って順調
- 平日しか検査がないため、仕事を休むしかない
- 胎動もしっかりしてるし、調べるまでもなく元気だと思った
- 助産師さんからは「受ける人と受けない人は半々くらい」と聞いていた
などの理由で「どっちでもいいや」くらいに考えていたのです。
検査対象の期限が迫っていた
妊娠25週6日目の検査で

胎児スクリーニングも希望すれば受けられますよ~
と紙を渡されたのですが、私が通っている病院では20~28週目の人が対象。
(※実際は「28週目までが見やすい」というだけで、過ぎていても受けられました)
あと2週しかないし、スケジュール的にきついな…と思っているうちに、28週目が目前に迫ってきました。
27週目最終日の健診でまさか…
それまで妊婦健診では

元気ですね~
よく動いてますね~
など、いいことしか言われませんでした。
でも、27週目6日目の妊婦健診で

- 羊水が多め
- 頭だけ平均よりかなり大きい
- 血液検査の結果、鉄分が全く足りてない
と急に問題を指摘されたのです。
助産師さんから胎児スクリーニングのことを聞いた時

例えば、羊水が多いと内臓に異常がある場合があるので、
そういうお母さんにはこちらから検査をおすすめすることがあります
と教わっていたので、「まさか、内臓に異常が?」と不安になりました。
「多め」と言われた程度なら心配しなくても大丈夫なケースが多いようです。
私の場合は直近1週間のアイスクリームの食べすぎによる糖分過多が原因でした。
院長先生に胎児スクリーニングをすすめられた
その日の健診は久々に院長先生が担当でした。
使っていた葉酸サプリへのダメ出しやアイス禁止など、熱い指導を受けた後

胎児スクリーニング受けてないの?受けた方がいいよ。
と言われました。
これは健診で何か異常が見つかったからではなく、「ちゃんと調べてもらえるいい機会だから」
という意味だったのですが、ずしんと心に響きました。
妊娠中に読んだ漫画のエピソードを思い出した
健診の後、胎児スクリーニングを受けるかどうか夫と話し合いました。
胎児スクリーニングは毎月数回しか健診日がないので、私たちにとっては3日後が最後のチャンス。
どうしようか悩んでいた時に、漫画「透明なゆりかご」のあるエピソードが浮かびました。
胎動がポコポコと元気だからとお腹の赤ちゃんを「ポコ」と呼んでいたご夫婦。
でも、妊娠後期に重い心臓疾患があることが発覚します。
お腹の中で元気に動いていても、生まれてからは長く生きられない病気ということもあるのです。
他に、生後しばらくしてから心臓疾患が見つかった赤ちゃんのエピソードもありました。
「胎動が元気だからって、何の異常もないとは限らないんだ」
と思うと、受けずにはいられなくなりました。
【実体験】胎児スクリーニング検査を受けてみた
私は妊娠28週2日目に胎児スクリーニング検査を受けました。
いつもの妊婦健診と変わらない?
私が通っている病院では専門医が出張で来てくださるので、
検査を行う場所はいつもの妊婦健診と同じ部屋・同じベッドです。
検査の流れもいつものようにベッドの上でお腹を出し、ぬるぬるを塗ったお腹に器具を当ててもらうというものでした。
先生は終始無言……
でも、検査の雰囲気は全く違います。
いつもならどの先生でも

これが足ですね~
お口パクパク動かしてますよ~
などと話しかけてくださいます。
でも、胎児スクリーニングの間、先生はずっと無言。
後から考えると「当たり前のこと」なんですけどね。
胎児スクリーニングはじっくり時間をかけて赤ちゃんの脳や内臓を調べ、
血液の流れを見たり、心臓の音を聞いたりして、わずかな異常も発見しようという検査。
しゃべってる場合じゃないんですよね。
赤ちゃんの燃えるような心臓を見た
いつもの妊婦健診なら画面は白黒ですが、
胎児スクリーニング検査中は赤と青の波のような模様が映し出されていました。
心臓から正常に血液が送り出されているかを見るために、動脈と静脈が赤と青で表示されているんです。
赤と青がぶつかっては弾けるような動きで、まるで心臓が燃えているようでした。
小さくても力強い動きをしている心臓にじーんときました。
結果は異常なし
20分間に及ぶ検査の結果、異常はありませんでした。
最後に4Dエコーで赤ちゃんの顔を見せてもらい、ほっこりしたところで検査は終了。
私は4Dエコーは別の機会に受けていたのですが、胎児スクリーニングでも4Dエコーを見せてもらえることがあるんですね。
生まれてくる子どものためにできること
妊娠や出産は喜びに溢れたものであって欲しいですよね。
だからこそ、赤ちゃんの病気を調べる検査は躊躇する方が多いと思います。
私も検査の前日は
「この子が何の異常もなく健康に生まれてくると信じていられるのは今日が最後か」
などと考えて、泣いてしまいました。
でも、万が一、異常があったとしても、
お腹の中ですくすく成長し、一生懸命生まれてこようとするわが子の全てを受け止めること。
そして、出来る限りの心構えと治療プランを整えて迎えることが、親としてできることだと思いました。
胎児スクリーニングはママやパパの不安材料を増やす検査ではありません。
かつてはお腹の中にいる赤ちゃんについて調べられることは、今ほど多くありませんでした。
医療が発達した現代だから、心臓や内臓、脳の細部にわたるまで調べることができるのです。
出産前に把握できる病気が増えたからこそ、助けられる命があります。
少しでも気になっている方は胎児スクリーニングを検討してみてください。